私たちが子供の頃から親しんでいるサイコロ。ゲームやおもちゃとして、日本では当たり前のように目にするアイテムですがその「1の目が赤い」という特徴、実は日本独特のものだってご存知でしたか?
サイコロの歴史と日本での独自性
サイコロ自体の起源は古く、紀元前3000年頃のメソポタミアでの発掘品からもその存在が確認されています。当初は宗教的な儀式や占いに使用されていましたが、やがてゲームや賭博の道具として広く普及しました。
ところで世界中のサイコロの「1の目」をよく見てみると多くの国では黒で表現されていることがわかります。対して日本のサイコロだけは「1の目」が赤く彩られていることが一般的です。どうして日本だけがこのような仕様を採用しているのでしょうか?
サイコロの「1の目が赤い」理由には諸説あり?
サイコロの「1の目が赤い」という特徴には、実は正確な理由が明らかになっていません。日本だけの独自のデザインとして知られていますが、その背景にはさまざまな説が存在します。今回は代表的な説をいくつかご紹介しましょう。
1. 日本国旗をイメージしている説
もう一つの説は、日本の国旗「日の丸」をイメージしたというものです。この説によれば、1の目を赤くし大きく描くことで日の丸に似せたデザインにしたと言われています。確かに赤く染められた1の目はどこか日の丸を思わせますね。このデザインは日本らしさを強調するための一つの工夫だったのかもしれません。
2. 方角を示しているという説
サイコロの目が方角を示しているという、ちょっと意外な説もあります。この説によると、1は天を、6は地を表し、その他の数字は西(2)、北(3)、南(4)、東(5)を示しているとされています。そして1が天を表すことから太陽の象徴である赤色が選ばれたというのです。この説はあまり知られていないかもしれませんがサイコロに隠された深い意味を感じさせますね。
3. 商品の差別化を図るため説
最も有名な説の一つに、1926年に和歌山県のサイコロ製造会社が「1の目」を赤くしたという話があります。この会社は自社のサイコロを他社製品と区別するために1の目を赤く塗る工夫を考え出しました。このアイデアが功を奏しサイコロの売れ行きは急上昇。その結果、他の製造業者もこれを真似し1の目が赤いサイコロが日本全土に広まりました。差別化のための小さな工夫が、大きな成功につながった興味深いエピソードです。
4. とあるサイコロ職人の親孝行説
最後に紹介するのは、大正時代の和歌山県に住む元博打打ちが賭博から足を洗い子供のためにサイコロ職人になったという話です。この職人は故郷の紀州梅を思い起こさせる赤色で1の目を染めたとされています。親孝行の心が込められたこの説は温かい物語として語り継がれています。
他の国々との比較
世界の他の国々ではサイコロは単なるゲームの道具としての役割が強調され、色に特別な意味が込められることは少ないです。結果として、「1の目」をわざわざ赤くするという発想は生まれませんでした。しかし日本では文化的背景から「1の目が赤い」という独自のサイコロが誕生し、それが現在でも続いているのです。この違いこそが日本文化の豊かさと奥深さを感じさせるものではないでしょうか。
まとめ
サイコロの1の目が赤い理由には様々な説が存在しています。どの説が真実なのかは定かではありませんがそれぞれに日本独自の文化や背景が感じられます。次にサイコロを手に取る時これらの説を思い出してみてください。サイコロというシンプルなアイテムにもこんなに奥深い歴史と物語が隠されているのです。