デパートに足を運ぶと、多くの人が最初に目にするのが一階の化粧品売り場です。華やかなディスプレイと香水の芳香が漂うこのエリア、実は何気ない配置のように思えるかもしれませんがそこには深い理由が隠されています。今回はその理由に迫りながら、化粧品売り場が一階にある背景についての雑学をご紹介します。
一階に化粧品売り場がある理由
デパートにおいて化粧品売り場が一階に配置される理由は、「香水や化粧品の匂いが建物内にこもるのを防ぐため」です。化粧品売り場では香水やスキンケア商品、メイクアップ用品が並びこれらの商品からは様々な香りが放たれます。そのためもしこれらの売り場が建物の中層や地下に配置されてしまうと、香りが空間内にこもり他のフロアにまで広がってしまう可能性があります。
特に香水の香りは強く持続性も高いため、狭い空間に留まると不快感を与えることも少なくありません。一階に配置することで自然な換気が促され、屋外に香りが抜けやすくなります。これにより他のフロアの雰囲気を損なうことなく、化粧品売り場自体も快適な環境を保つことができるのです。
戦略的な理由も関係している
またこの一階配置には戦略的な要因も大きく関わっています。化粧品はデパートにとって利益率が非常に高い商品です。特に有名ブランドの化粧品や香水は少量でも高額で取引されることが多く、デパートにとっては重要な収益源となっています。そのため多くの人が必ず通る一階に配置することで商品の露出度を高め、購入意欲を促進する効果が期待されているのです。
さらに化粧品は特に女性客の注目を集めやすい商品です。デパートを訪れる際、まず一階で化粧品に目を引かれることで購買意欲が高まり、店内の他のフロアにも足を運ぶ動機が生まれます。これが全体的な売り上げの向上にも繋がるのです。
世界中で見られるこの配置
実は、化粧品売り場が一階に配置されるのは日本だけでなく、世界中のデパートでもよく見られる現象です。ニューヨークの老舗デパート「メイシーズ」やロンドンの「ハロッズ」など、著名なデパートでも化粧品売り場が一階に設置されていることが多く、これには同様の理由が考えられます。
特に、観光客が多く訪れる都市のデパートでは、化粧品売り場が一階にあることで、観光客が手軽に高級ブランドの化粧品を購入できる機会を提供する役割も果たしています。限られた時間で買い物をする際、一階にある売り場は非常に便利ですし、そこに並ぶ商品がそのデパートの「顔」としての役割を担うこともあります。
最近の変化
しかし、近年では一部のデパートで化粧品売り場の配置が見直される動きもあります。例えば、より広いスペースが必要とされる化粧品カウンターやメイクアップの体験コーナーを充実させるため、上層階に移動するケースも増えています。また、デパート全体の構造が変わり、他の商品カテゴリーとの兼ね合いから、必ずしも一階にこだわらなくても良いという判断がなされることもあります。
しかしながら、依然として多くのデパートでは化粧品売り場が一階に配置されており、この配置が売り上げや顧客体験に与える影響が大きいことは間違いありません。
まとめ
デパートで化粧品売り場が一階にある理由は、一見すると単なる偶然のように思えるかもしれませんが、実際には香水や化粧品の匂いがこもらないようにするという実用的な理由が背景にあります。加えて、化粧品の高い利益率や女性客を引き込む戦略的な要因も影響しています。この配置は、単に便利なだけでなく、デパート全体の売り上げ向上に寄与する重要な要素であり、世界中のデパートで広く採用されています。
デパートを訪れる際、次回は一階の化粧品売り場を少し違った視点で眺めてみるのも面白いかもしれません。